イプセン、希少肝疾患「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒」治療薬ビルベイ®(オデビキシバット)の日本における製造販売承認取得

イプセン、希少肝疾患「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒」治療薬ビルベイ®(オデビキシバット)の日本における製造販売承認取得

ビルベイ®は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis :PFIC)に伴うそう痒の治療薬として承認されたIBAT 阻害薬であり、体重5 ㎏以上の乳幼児および小児、成人にとって外科的介入を伴わない治療選択肢を提供します。

日本、東京―2025 年9 月19 日 ― IPSEN 株式会社は本日、ビルベイ®(オデビキシバット)について、「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴うそう痒」を効能又は効果として厚生労働省から製造販売承認を取得しました。PFIC は、胆汁酸が肝臓に蓄積することで進行性の肝障害を引き起こし、肝不全に至る可能性がある希少な遺伝性疾患の総称です。この疾患は、重度のかゆみ(そう痒)をはじめとする衰弱性の症状を伴い、掻きむしりによる皮膚損傷、睡眠障害、易刺激性、認知機能および社会的発達の遅延などを引き起こすことで生活の質を著しく損ないます。PFIC は、日本国内で推定100 人が罹患しているとされています。1

「日本におけるビルベイの製造販売承認は、希少肝疾患の患者さんの生活の質向上に向けた当社の取り組みにおける重要な節目となります。この承認により、PFIC と共に生きる乳幼児、小児、成人の方々に対し、新たな外科的介入を伴わない治療選択肢が提供されます。特にそう痒をはじめとした負担の大きい症状の有意義な緩和に貢献することを願っております。」と、IPSEN 株式会社PR 担当者は述べています。

ビルベイは1 日1 回経口投与の回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤(IBATi)であり、肝臓内の胆汁酸蓄積を低下させました。PEDFIC 試験は、これまででPFIC を対象とした世界最大規模の第III 相試験であり、この試験でビルベイによる治療を受けた小児は、肝バイオマーカーとそう痒の重症度が有意に改善しました。 治療は概ね良好な耐容性を示し、薬剤関連の重篤な有害事象は認められず、下痢は9.5%(PEDFIC 1 試験)、12.1%(PEDFIC 2 試験)でした。

「PFIC では、症状管理と肝機能維持のため、早期診断と早期介入が極めて重要です。ビルベイの承認は、患者と介護者にとって、かゆみを軽減し、かゆみによる夜間の睡眠妨げを緩和し、さらには肝機能の維持も期待できるという点で、治療の新たな選択肢となりうると考えます。」と近畿大学奈良病院小児科の近藤宏樹医師は述べています。

以上

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝臓内に胆汁酸が蓄積し、肝障害を引き起こし、最終的に肝不全に至る可能性のある稀な遺伝性疾患の総称です。PFIC には3 つの明確なサブタイプが存在します。PFIC1 型およびPFIC 2 型は通常、乳児期または幼児期といった生後早期に発症します。一方、PFIC 3 型は乳児期から思春期までの間に発症する可能性があります。2 PFIC の発症に男女差はなく、出生5 万件に1 例から10 万件に1 例の割合で発生します。3 PFIC は成人期に発症することもありますが、通常は乳幼児期に発症して最も進行が速く重篤な経過をたどります。PFIC は、重度のかゆみ(そう痒)をはじめとする衰弱性の症状を伴い、掻きむしりによる皮膚損傷、睡眠障害、神経過敏、注意力低下、学業成績の不振など、患者さんの日常生活に影響を及ぼします。 これまで、疾患の進行と症状を効果的に管理し、生来の肝機能を可能な限り⾧く維持する有効な治療法はありませんでした。

ビルベイは1 日1 回投与の回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤(IBATi)であり、遠位回腸に局所的に作用して、胆汁酸(主に胆汁酸塩の形態)の再取込を減少させ、結腸を通過する胆汁酸のクリアランスを増加させることで、血清中の胆汁酸濃度を低下させます。ビルベイは2021 年6 月、EU において、生後6 か月以上の全タイプの進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)患者さんを対象とした初めての薬物治療選択肢として承認され、米国では、PFIC による胆汁うっ滞性そう痒を有する生後3 か月以上の患者さんを対象とした初めての薬物治療の選択肢として承認されました。ビルベイはEU および米国においてPFIC 治療薬としてオーファン独占指定を取得しています。2023 年6 月には、米国において生後12 か月以上のアラジール症候群(ALGS)患者さんを対象とした胆汁うっ滞性そう痒の治療薬として承認され、ALGS に対するオーファン独占指定も取得しました。 2024 年には、Kayfanda(オデビキシバット)の製品名で、生後6 か月以上のアラジール症候群(ALGS)患者さんにおける胆汁うっ滞性そう痒の治療薬として、例外的な状況下での承認が付与されました。


米国添付文書の詳細はこちらをご覧ください:label (fda.gov)
欧州製品概要(SmPC)の詳細はこちらをご覧ください:Bylvay, INN-odevixibat (europa.eu)

PEDFIC は、PFIC を対象としたこれまでで最大規模の国際的な第III 相試験です。PEDFIC 1 は、ランダム化(1:1:1)、二重盲検、プラセボ対照の24 週間試験であり、PFIC の小児患者さんにおける2 種類のオデビキシバット投与量(40μg/kg または120μg/kg)のそう痒ならびに血清胆汁酸値の低減効果および耐容性を評価しました。試験結果はThe Lancet 誌に掲載されました。4
第III 相PEDFIC 1 試験のデータは、ビルベイがPFIC に対する効果的で新しい治療選択肢となり得る可能性を示しました。

  • PEDFIC 試験(n=62)では、最初の主要評価項目であるかゆみ症状において、オデビキシバット投与群で有意に改善されました。オデビキシバットを投与された患者さんの55%がそう痒の軽減が認められたのに対し、プラセボ群では30%でした。
  • また、第2 主要評価項目である24 週時点での血清胆汁酸(sBA)反応(sBA がベースラインから70%以上の減少、または70μmol/L 以下に減少した患者さんの数)も達成しました。オデビキシバット群では有意に多くの患者さんがsBA 反応を達成し、24 週時点でsBA レベルが減少した患者さんが33%であったのに対し、プラセボ群では0 名でした。
  • オデビキシバットは概ね良好な耐容性を示し、試験期間中に薬剤関連の重篤な有害事象は認められず、下痢は9.5%でした。

PEDFIC 2 は、PEDFIC 1 のオープンラベル延⾧試験であり、PFIC 患者さんを対象に、オデビキシバット120μg/kg を1日1 回投与した際の有効性および耐容性を評価することを目的とした、72 週間試験です。 中間結果はThe Journalof Hepatology 誌に掲載されました。5

当社は、がん、希少疾患、神経科学という3 つの治療領域で、患者さんに革新的な医薬品を提供することに注力する国際的なバイオ医薬品企業です。

当社のパイプラインは外部からの革新的成果や技術に強化され、約100 年にわたる開発経験と米国、フランス、英国に拠点を置くグローバルネットワークによって支えられています。40 カ国以上に展開するチームと世界各地のパートナーシップにより、100 カ国以上の患者さんに医薬品をお届けすることが出来ています。

イプセンはパリ(ユーロネクスト: IPN)に上場しており、米国ではスポンサー付きレベルI 米国預託証券(ADR: IPSEY)を通じて上場しています。 詳細はipsen.com をご覧ください。

PR 担当070-3079-7969

本資料に含まれる将来の見通しに関する記述、目的および目標は、イプセンの経営戦略、現時点での見解および仮定に基づいています。これらの記述には、既知および未知のリスクや不確実性が含まれており、実際の結果、業績または事象が本資料で予想される内容と大きく異なる可能性があります。上記のリスクはすべて、イプセンが財務目標を達成する将来的能力に影響を与える可能性があります。これらの目標は、現時点で入手可能な情報に基づき、合理的なマクロ経済状況を想定して設定されています。「信じる(believes)」「予期する(anticipates)」「見込む(expects)」および類似の表現は、将来の見通しに関する記述を特定する目的で用いられています。これには、規制当局への申請やその決定などの、イプセンが将来の出来事について持つ見込みが含まれます。さらに、本資料に記載された目標は、外部成⾧の想定や将来の買収の可能性を考慮せずに作成されており、これらにより目標の根拠や条件が変更となる可能性があります。これらの目的は、イプセンが合理的とみなすデータおよび前提に基づいています。 これらの目標は将来起こりうる状況や事実に基づいており、過去のデータのみに依存するものではありません。特定のリスクや不確実性が生じた場合、実際の結果はこれらの目標から大きく逸脱する可能性があります。特に、開発初期段階や臨床試験段階にある有望な医薬品が、規制上の理由や競争上の理由などにより、市場に投入されない、あるいは商業的目標を達成できない場合があります。イプセンは、自身の市場シェアの喪失につながる可能性のある後発医薬品との競争にほぼ確実に直面するか、または直面する可能性があります。

さらに、研究開発プロセスには複数の段階があり、各段階においてイプセンが目標を達成できず、多額の投資を行った医薬品に関する取り組みを断念せざるを得ないという重大なリスクが伴います。 したがって、イプセンは、前臨床試験で得られた良好な結果が臨床試験でその後確認される保証はなく、また臨床試験の結果が当該医薬品の安全性および有効性を十分に示すことを保証するものではありません。医薬品が必要な薬事承認を取得すること、あるいは商業的に成功する保証はありません。 基礎となる前提が不正確であったり、あるいはリスクや不確実性が現実化した場合、実際の結果は将来の見通しに関する記述に記載された内容と大きく異なる可能性があります。その他のリスクおよび不確実性には、業界の一般的な状況および競争、金利・為替レートの変動を含む一般的な経済的要因、医薬品業界の規制や医療関連法の影響、医療費抑制に向けた世界的な傾向、技術進歩、新薬開発、競合他社による新薬および特許取得、薬事承認取得を含む新薬開発に内在する課題、 イプセンが将来の市場状況を正確に予測する能力、製造上の困難または遅延、国際経済における金融不安定性およびソブリンリスク、イプセンの革新的医薬品に対する特許およびその他の保護の有効性への依存、ならびに特許訴訟を含む訴訟および規制措置への曝露などが挙げられますが、これらに限定されません。また、イプセンは一部の医薬品の開発および販売を第三者に依存しており、これにより多額のロイヤルティが発生する可能性があります。これらのパートナー企業は、イプセンの事業活動や財務実績に損害を与えるような行動を取る可能性があります。 イプセンは、パートナー企業が義務を果たすことを確約できません。 また、これらの契約から何の利益も得られない可能性があります。イプセンのパートナー企業のいずれかが債務不履行に陥った場合、予想を下回る収益が生じる可能性があります。このような状況は、イプセンの事業、財務状況、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。イプセンは、適用される法令により要求される場合を除き、本プレスリリースに含まれる将来の見通しに関する記述、目標、または見積もりを、それらの記述の根拠となる事象、条件、仮定、または状況の変化に応じて更新または修正する義務または約束を明示的に否認します。イプセンの事業は、フランス金融市場庁(Autorité des Marchés Financiers)に提出された登録書類に記載されているリスク要因の影響を受けます。ここに記載されているリスクおよび不確実性は網羅的なものではなく、読者はipsen.com で入手可能なイプセンによる最新のユニバーサル登録書類をご参照いただくことを推奨します。

1 https://www.nanbyou.or.jp/entry/22457 (2025 年9 月アクセス)
2 Agarwal S, et al. Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis (PFIC) in Indian Children: Clinical Spectrum and Outcome. J Clin Exp Hepatol. 2016. v.6(3).
3 Davit-Spraul A, et al. Progressive familial intrahepatic cholestasis. Orphanet J Rare Dis. 2009. 4(1):1-12.
4 Thompson RJ, et al. Odevixibat treatment in progressive familial intrahepatic cholestasis: a randomized, placebocontrolled,phase 3 trial. Lancet Gastroenteterol Hepatol 2022;7:830-842.
5 Thompson RJ, et al. Interim results from an ongoing, open-label, single-arm trial of odevixibat in progressive familial intrahepatic cholestasis 2023. JHEP Rep. 5(8):100782.